イ・ナヨン(25)がテーブルに座ると、記者30人余が周りを囲んだ。彼女の隣にはヒョン・ビンという男性タレントもいたが、彼に質問する記者はほとんどいなかった。

 MBCテレビが9月1日から放送する新ドラマ『アイルランド』の制作発表会での風景だ。

 イ・ナヨンがこれだけ注目されているのは、新ドラマが『勝手にしやがれ』の脚本を書いたイン・ジョンオク氏が再びイ・ナヨンと組む作品だからだ。

 2人は『勝手にしやがれ』以来親交を深め、新作についてたびたび話し合ってきたという。

 イン氏は「イ・ナヨンを念頭に置いて脚本を書いた。イ・ナヨンが俳優として見せた幅は非常に狭いが、まだ見せられるものは多いと考えている。それを引き出してみたい」と話した。

 「偏執症や神経衰弱といった症状も見せるキャラクターです。今回の作品でこれまでできなかった役割をしてみたかったんです。『勝手に…』とはスタイルや言葉遣いなど、さまざまな面で違うドラマです」

 15秒のテレビコマーシャルが最も似合うかのような彼女の容貌は、よく見ると「神経衰弱」に見えなくもない。短くカットした髪型のせいか首が異様に長く見え、着ているブラウスのように頬が白く透き通り、血管がうっすら見えるほどだった。

 イ・ナヨンは新ドラマで元「海外養子」として韓国に戻り、男性との出会いを通じて家族を探すイ・ジュンア役を演じる。

 イ・ナヨンは「俳優たちは泣かないのに視聴者を泣かせるドラマ。台詞のトーンを常にドライに保たなければならず、それが一番難しかった」と話した。

 イ・ナヨンは映画『フー・アー・ユー』『英語完全征服』『知り合いの女』に出演したが、興行的に成功を収めたとは言えない。

 「まだ何かが足りないからでしょう。もちろん、マーケティングや公開時期も興行の要素でしょうが。そういう興行成績には大して未練はありません。これからもっとがんばらないと、という責任感はかなり感じます」

 イ・ナヨンはまだ進むべき道を「模索中」のように見えた。

 「同じような役ばかり演じているのではないかと周囲でも心配されますが、私はまだこういう役にやりがいを感じています」

韓賢祐(ハン・ヒョンウ)記者 hwhan@chosun.com

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