スターインタビュー
映画『南極日記』をニュージーランドで撮影中の宋康昊
8月にもかかわらず草一つ生えていない雪の砂漠が果てしなく続く南極をそのまま移したようなニュージーランド南部にあるスノーファーム。
海抜1700メートルの雪原だ。国内初の南極探険を扱った映画『南極日記』(イム・ピルソン監督)で到達不能極を目指す韓国の探検隊長、チェ・ドヒョン役を演じる宋康昊(ソン・ガンホ)の黒く日焼けしてやつれた顔には無精髭が生えていた。
「撮影を始めてから中盤くらいに差し掛かっていますが、実際の探険家でも一度の探険を終えると10キロくらい痩せるそうなので、これからもっと体重が減っていくでしょう」
劇中チェ・ドヒョン隊長はどんな危機的な状況でも冷静を保ち、5人の隊員を率いて南極大陸の海岸から最も遠い地点である南緯82度08分東経54度58分に位置した到達不能極を目指す。
しかし、出発から21日目に80年前に遭難した英国の探検隊が記した日記を発見してからは、まるで南極の呪いにでもかかったように可思議なことが起り始める。最終的に隊員たちは順に死を迎え、食糧さえ尽きてしまうが、状況が厳しくなるほどチェ・ドヒョン隊長はより到達不能極に対する執着を見せる。
宋康昊は「チェ・ドヒョンという人物は今までに演じたどの役よりも独特で難しかった」とし、「特に小市民的な父親像を演じた『孝子洞理髪師』のソン・ハンモとはまったくの正反対」と語った。
宋康昊は「『殺人の追憶』のパク・トゥマン刑事や『孝子洞理髪師』のソン・ハンモは宋康昊という俳優にぴったりだったが、チェ・ドヒョン隊長は今までとは違って客観的で古典的な演技が合うようだ」と語った。
宋康昊は“俳優の宋康昊”ではなく“チェ・ドヒョン隊長”になり切るために、探険家のパク・ヨンソク(41)さんからソリの引き方からアイゼンを履いて山を登る要領、南極での生活方法などの特別訓練を受けた。
パク・ヨンソクさんは今年3月に南極遠征隊を率いて44日で南極点に到達、世界最短記録を樹立した。ロケ現場で会ったパク・ヨンソクさんは「クレバス(氷河表面の割れ目)に落ちて救出するといったシーンのように、専門家ではなければ完璧に分からない部分まで詳細にわたって指導した」と話した。
「『南極日記』が『バーティカル・リミット』や『K2/ハロルドとテイラー』のような単純に南極を素材にしたアクション映画だったら出演はしなかったはずです」
宋康昊は「この映画は極限の状況の中で人間の根源的な心理を精巧に描き、観客の経験と重なる映画」としながら、「最もリアルな演技を見せつつも視線や呼吸の一つ一つがすべて表現となって感じることができる映画になればと思う」と語った。