今月27日に公開される映画『多黙 安重根』は1909年10月、安重根(アン・ジュングン)義士が伊藤博文を暗殺した前後の11日間を描いたヒューマン映画で、コメディアンの徐世原(ソ・セウォン)が初めて監督をアめた作品として注目を集めている。

 主演の劉五性(ユ・オソン)は安重根の役を今年の初めから中国各地で演じながら、単純な映画撮影以上のものを得たという。

 劉五性は富と名声のみを追い求め、周囲を気にせずに生きてきた自分の人生を安重根義士と重ね合わせて反省するようになり、また韓国社会が安義士をはじめとした愛国者らが流した崇高な血と汗を忘れつつあるなど、非常に無責任な方向に向かっていると考え、自ら行動を起こそうと出演を決心したと言う。

  『多黙 安重根』の撮影中にあらゆる困難を経験しても、渾身の力を込めて最後まで全力投球できたのは、そうした決心があったからだろう。


 中国でのロケはスタッフから撮影道具に至るまですべてが劣悪だったが、黙々と演技にだけ集中したため、現場はまるで現実さながらの雰囲気に包まれたという。また、相当量のアクションシーンも危険を承知の上でスタントマンなしで直接演じた。

 安義士の絞首刑シーンの撮影を控え、安義士が当時に感じたであろう苦悩や苦痛を完璧に再現するために3日間の断食を行ったりもした。そうした努力もあってか『多黙 安重根』では安義士の魂が乗り移ったかのような劉五性の迫真の演技を見ることができる。

 劉五性はさらに一歩踏み込んで「韓国映画が『実尾島』(日本タイトル『シルミド/SILMIDO』)や『太極旗を翻して』(同『ブラザーフッド』)などで1000万人以上の観客動員を記録したが、商業的なものにだけ偏り、安義士のような偉人を扱おうとはしてこなかった。これからは今回のようなジャンルの映画にも自ら率先して出演していきたい」と語った。

 劉五性はまた「エンディングに独立有功者ではなく対日協力者の名前を赤字で流そうと提案した。独立有功者の後裔らが何の恩恵も受けることができずにいる現実を打破するためにも完全な過去の歴史の清算をしなければならない」と声を荒げた。

 劉五性がその約束通りに単なる俳優という立場を超越した行動派に生まれ変わるかに期待したい。

 劉五性は現在放送中のSBSドラマ『張吉山』で熱演を披露している。

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