金健模(キム・ゴンモ/36)が9枚目のアルバムを間もなくリリースする。ニューアルバムがリリースされるということよりも「テレビ出演は一切せずに公演だけで勝負する」と宣言したことが何よりものビッグニュースだ。

 そんな金健模が9月10日からの3日間、オリンピック重量挙げ競技場でコンサートを開き、その後も全国15都市を回るツアーを展開する。

 「一種の冒険でしょう。一方では心配なのも事実です。これからはテレビなどの放送で不特定多数の人に音楽を聴いてもらうというよりは、私を見ようと公演会場まで直接足を運んでくれる人々のために歌いたいです」

 デビュー12年目を迎える金健模のこうした覚悟の裏からは「いつどうなるか分からない」という危機感がうかがえた。本人も「新人の時はテレビ局に行って頭を下げて歌ってさえいれば良かったのですが、今はそうではありません。頭の中が複雑な考えで一杯です」と語った。

 金健模の今回のニューアルバムには、さまざまなジャンルの曲が収録されている。8thアルバムまでは耳に残るようなリフレーンがあったが、今回のアルバムではそれがあまり感じられない。ナ・ウォンジュがアレンジしてオーケストラのサウンドをふんだんに使った『家族』は、コンテンポラリージャズに金健模のボーカルが絶妙に融合している。

 『愛が私を悲しくする時』からは新鮮な印象を受ける。セクシーなクラリネットの音色で始まるボサノバのリズムと金健模の反ボサノバ的なボーカルが絶妙に絡み合って新しい雰囲気を作り出している。金健模も「ボサノバのリズムに高音のボーカルは合いません。こういうのが本当のボサノバって言うんでしょう」とアントニオ・カルロス・ジョビンの名曲『Girl From Ipanema』を例に挙げた。

 リードトラックの『小言』は金健模の名作『白い雪が降れば』の続編とも言えるバラード。スローテンポな曲でも緊張感を失わない金健模の曲は非常にタイトでしっかりとしている。ヒップホップユニットの「Leessang」とコラボレーションした『ミスター・ビッグマン』、グルーヴ感に溢れた『女たちとは』はアルバム全体の雰囲気を表現している。

 「これからは『間違った出会い』を歌っていた頃の金健模は忘れてほしいと思います。自分が進むべき道を探さなければいけない時で、その道を公演を通じて探してみようと思うんです」

 彼は「探している」と言ったが、進むべき道はすでに見付かっている。ただその険しい道を無事に完走することが非常に大変なだけだ。

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