-中国では『シュレック2』や『スパイダーマン2』の公開も遅らせ、あなたの映画『LOVERS』が公開されて1か月が経った。やはり「国民的監督」という呼称のためか?

  「いや、違う。一人の人間の映画が中国の代表にはならない。私はただ自分のスタイルを貫くだけで、世界の人々が私の映画に関心を示してくれ幸せだ」

 中国映画の各記録を新たに塗り替えている映画『LOVERS』を手がけたチャン・イーモウ監督が訪韓した。

  金城武、アンディ・ラウ、チャン・ツィイーの3人が主演した『LOVERS』は先月16日に中国360か所のスクリーンで公開され、チャン・イーモウ監督自身が持つ記録(『HERO』公開当時の300か所)を更新した。3日間の公開収入も663万ドルで史上最高額を記録した。

 チャン監督は『紅いコーリャン』『秋菊(しゅうぎく)の物語』などの映画でベルリン国際映画祭の金熊賞、ヴェネチア国際映画祭の金獅子賞を受賞し、最近では大衆から大きな支持を得ている。

 チャン監督は「前作の『HERO』が大儀のためにすべてを捧げる人物を描いたとしたら、今回の『LOVERS』では愛のためにすべてのものを犠牲にする個人の物語を描きたいと思った」と語った。

-中国は年間に40本のみの外国映画を上映することができるクォータ制を導入していると聞いた。監督の映画もその影響で成功したといえるか?

 「政府が公開する外国映画を制限することはできるが、ヒット中の映画の上映をやめさせることはできない。映画館は市場の論理によって上映を決める。参考までにだが、今年に公開されたハリウッド映画『トロイ』と『デイ・アフター・トゥモロー』の合計観客数よりも『LOVERS』がさらに多くの観客を集めた」

 今回の映画は“武侠”という大衆的なジャンルを選択しているが、中国の歴史と文化を世界に伝えたいという監督の意志がダンスと歌、そして衣装を通じて表現されている。

 監督は「中国をはじめとする東洋の武侠は、西洋のアクションとは違って美的で詩的だ。いかにして残酷に人を殺すかということに重点を置いている西洋の映画とは異なり、文化と教養が共存している東洋武侠の特徴を見せたいと思った」と語った。

 監督はまた「最も達成感を感じた瞬間と最も悩み苦しんだ瞬間」を問う質問に「デビュー作の『紅いコーリャン』がまったく予想外だったベルリン国際映画祭の金獅子賞を受賞した時の喜び、そして『活きる』が政治的な理由でいまだ中国で上映することができないのが残念でならない」とそれぞれ挙げた。

 『活きる』(1994)は歴史の犠牲となった家族の苦痛を描いた作品でカンヌ国際映画祭の審査委員大賞を受賞した。

 真剣な表情で答える監督に短い髪型について尋ねてみた。監督は笑いながら「特別な理由はない。ただの習慣で20年前の80年代から同じスタイル」と教えてくれた。

 「私は自分で髪を切るのですが、すべてが私のような人ばかりだったら床屋は店を閉めるしかないでしょうね」と言いながら頭を撫でた。

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