先週、朝鮮日報で「イ・へチャン氏の首相承認を巡って韓国教員団体総連合会(教総)と全国教職員労動組合(全教組)に分かれていた教育界が一つになった」という内容の漫評を見た。

 ところが韓国には分裂もなく互いに争わない絶対的な集団がある。それは芸能界だ。誰かが指示を出したりするわけでもないが、全員の意見と行動は一糸の乱れもない。

 説明を簡単にするために筆者の経験を例に挙げよう。普段、特定の芸能人についてどんな人かと聞けば、ほとんどが賞賛の言葉一色だ。欠点について語ってほしいと頼めば避けたり怒ったりする。

 芸能人が社会的な問題を起こした時は必ず肩を持ってコメントを避ける。良識のあるベテラン芸能人でさえも沈黙を貫き通す。

 もしその問題が芸能界全体に影響を及ぼす大事であれば、誰が先頭に立つわけでもなく、一致団結して立ち上がる。集まれと言われれば多忙なスケジュールを何とかしてでも参加する組織力と団結力がある。こうした雰囲気の中で組職や仲間に対する告発や批判は、自らの芸能生命を失うことになる。

 しかし、こんな芸能界にも急速にひびが入りつつある。つまり“内戦”直前ということだ。その発端は歌謡界の悪童と呼ばれる「DJ DOC」メンバーのイ・ハヌルから始まった。

 イ・ハヌルは元祖韓流スター「Baby V.O.X」のニューアルバムに対して真正面から批判を浴びせ、これに対してBaby V.O.X側もイ・ハヌルに対して公開謝罪を要求した。さらにはこれに対してイ・ハヌルがネット上の掲示板に「彌阿里(ミアリ/風俗街)ボックス」という表現を使って正面から対抗して芸能界全体を驚愕させ、Baby V.O.X側も名誉毀損で直ちに告訴するという立場を明らかにした。

 この一件の他に、先日にはある新人タレントが記者を前に清楚なイメージの某女性タレントを名指しで「上辺だけ」と強烈に批判を浴びせた。また、ある男性グループはデビューと同時に「歌謡界にルックスとダンスだけで勝負するいわゆるビジュアル系の歌手が幅を利かせることが理解できない」と批判する堂々たる姿を見せた。

 その他にも最近起った「漢江(ハンガン)カーセックススキャンダル」のヒロイン(?)についての個人情報の提供も批判を浴びせられている他の女性芸能人を救うための内部告発だという噂が絶えない。

 こうした批判や告発の内容を総合して見れば、数種類に要約される。演技の下手な俳優や女優、口パク歌手、教養のない無知な芸能人、裏ルートで有名になったスター、プライベートに問題のある芸能人、韓国芸能界の不正や賄賂に関するものなどだ。

 どんな組職でも非常に閉鎖的だったり、自由に発言ができなければ、その中で埋もれて外に出た時に叩かれやすい。「団結すれば生き延び、そこから外れたら終わり」という芸能界憲法第1条は、こうした面からも今すぐにでも改訂されるべきだ。

ペク・ヒョンラク/放送作家

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