1930年代の賑わいを見せる中国のある都市。スマートにスーツを着飾ったチョン・グァンニョルが現地商人の案内で市場の隅々を見て回っている。建物外壁には「朝鮮物産陳列館」という看板が掲げられ、山積みされた品物の中で中国人が慌しく動き回っている。

 25日午後、中国・上海の郊外に位置する映画の撮影セット。MBCの特別企画ドラマ『英雄時代』の撮影が行われている。制作陣の大声が響き渡り、数百人の中国人エキストラが繰り返すNGに慌てる。1930年代の中国を再現した人力車や旧型の自動車が街の過去の一場面を演出している。

 『英雄時代』は故・鄭周永(チョン・ジュヨン)現代(ヒョンデ)グループ元名誉会長と故イ・ビョンチョル元サムスン会長という経済界の二大人物をモデルにしたと言われ、放送開始前から早くも話題になっているドラマだ。

 故イ・ビョンチョル元サムスン会長をモデルにしたクク・デホ役をチョン・グァンニョルが、鄭周永現代グループ元名誉会長をモデルにしたチョン・テサン役を車仁杓(チャ・インピョ)が演じる。

 この日に行われた撮影は予定されている全100話中の13話分で、クク・デホが中国の活気に満ち溢れた市場を探索して事業に対する意欲を燃やすといった内容だ。

 月5日にスタートするこのドラマは、チョン・テサンの四番目の息子で世紀グループ会長のチョン・サグクが会長に就任してから1年目にして遺書を残して自社ビルから飛び降り自殺をする場面から始まる。鄭夢憲(チョン・モンホン)現代峨山(ヒョンデ・アサン)元会長の悲劇的な事件を連想させるような場面だ。


 これについて蘇元永(ソ・ウォンヨン)ディレクターは「韓国経済界の二大人物をモデルにして彼らのエピソードを借用はしたが、あくまでもドラマはドラマ」と説明した。つまりモチーフは取り入れるが、二人の一代記ではないということだ。しかし、この言葉をそのまま鵜呑みにするには、ドラマの全体的な流れがあまりにも二人の人生と似すぎている。

 そのため一部からは企業創始者の物語を通じて結局は財閥を美化するのではないかという指摘もある。シン・ホギュン責任プロデューサーは「韓国経済の今日があるのは、二大財閥の存在があってのことであり、無視できないのが事実」としながら、「現在の物差しで当時の状況を測ろうとは思わない」と語った。つまりは特定企業のドラマではない、総体的に人間の生き方を扱ったドラマだという説明だ。

 チョン・グァンニョルは「『許浚』の時も漢方医学を美化するといった指摘があったが、主人公が見せた人間的感動がドラマを成功へと導いた」と語った。

 ドラマで二人の企業家が見せるリーダーシップを比較するのも楽しみの一つ。

 チョン・テサンは「裸一貫から冒険心と開拓心を武器に前進し続けた人物」、クク・テホは「緻密な計算と徹底した事前準備で成功した企業家」として描かれる。

 蘇元永ディレクターは「この不景気に何か役に立つようなドラマがないかと考えて韓国経済の神話を創造した二人の人物を題材に選んだ」と言う。シナリオは『太祖王建』をヒットさせたベテラン演出家の李煥慶(イ・ファンギョン)が手がけた。

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