軽くパーマのかかった髪に灰色のスーツ、真面目な表情。
 今までの車太鉉(チャ・テヒョン)の軽いイメージとはまったく一致しないスタイルだ。しかし、車太鉉が本来の姿を見せるまでに長い時間は要しなかった。

 3年半ぶりとなるドラマ出演についての感想を述べる一言目から彼は躊躇なく飛ばしまくった。車太鉉の言葉は素直でなく偽悪的に感じたりもするが、実際に話をしてみると愉快にならざるを得なかった。

 「成宥利(ソン・ユリ)さんの相手役を演じるのは“家門の栄光”です。先輩たちも『今回の機会を逃したらいつ成宥利と共演するのか?』と言います」

 「リゾートですか?初めは良かったですよ。ところが5日を過ぎたあたりからは息苦しくて参りそうでした。何にもないし、行くところもありません。まあ三食きちんと食べて運動はするので体の調子はよかったですが」

 車太鉉は6月にスタートするMBCテレビのドラマ『皇太子の初恋』で主人公のチェ・クォンヒ役を演じる。SBSテレビのドラマ『ジュリエットの男』以来、3年半ぶりのドラマ出演となる。

 裕福だが影を持った大手リゾート企業の二代目チェ・クォンヒが、父親が所有する海外のリゾート施設で職員として働く明るく元気なキム・ユビン(成宥利)と出会い愛を育んでいくラブストーリーだ。バリ、タヒチ、札幌など、世界の有名観光地やリゾートを舞台にドラマが展開する。

 つまらなそうに話していた彼がさり気なくドラマのタイトルに文句を付ける姿が、なぜか憎めない。「『皇太子の初恋』ですよ。あまり気に入りませんね。(溜息)10~20代の人々は引くと思いますよ」

 オーバーでも無邪気でも明るい役のみに固執してきた車太鉉は、今回の作品を通じて過去に金持ちの二代目として登場したMBCテレビのドラマ『日差しの中へ』(1999年)以来、久しぶりに内面の憂鬱さを演じなければならず、随分とプレッシャーのようだった。

 「4~5年に一度は必ずこういう役が回ってくるんですよ。いつも似たような役ばかりを演じているように見えても長く俳優をやっていけるには、その中でも少しずつ変化しているからで、皆さんも私を見て笑いたいと思っているからでしょうに…。『日差しの中へ』に出演した時は、ロケが始まって早々から耐えられませんでした。それで監督に『解放してほしい』ってお願いしたりもしました。ところが視聴率では最も成功したドラマだったんです。まったく皮肉なものですよ」

 しかし車太鉉はイメージチェンジをする必要性を痛感してこの作品を選んだとも言う。「一本を作るのに莫大な費用が投じられた映画を観た人々の私に対するイメージを変えるのは難しいことです。ところが周りの人々がいつも同じような役ばかりを演じて大丈夫なのかと心配してくださったので、思い切って今回の作品に出演することを決めました」

 へらへらと笑っていた車太鉉の口から、突然台本をもらって慌しくロケが行われる韓国ドラマの制作スタイルについて厳しい指摘が飛び出した。

 「日本で慌しく撮影をしたのですが、たくさんの現地メディアが見ているのにちょっと恥ずかしかったんですよ。それでわざと『日本でもこうやってドラマを撮るのか?』って聞いたんです。当然『そうではない』と答えたので『私たちはこんなスタイルで撮影をしていても、あなた方が必ず喜んでくれるドラマを作っている。どう考えても俳優が頭がいいか、何か秘訣があるのでしょう』って強調したんです」。

 このドラマは日本の「スカイパーフェクTV!」でも同時放送される予定だ。

 これまでの映画出演についても本人の評価を聞くとウィットの効いた正直な答えが返ってきた。「『猟奇的な彼女』に出た後は、観客が予想よりも50万人ずつ減ったんです。どんなに幸いなことか。そうじゃなかったら私の首は(威張りすぎて)折れているはずですよ」。

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