スターインタビュー
大河ドラマ『大長今』でブレーク後、初舞台を踏む梁美京さん
ドラマ『大長今』のハン尚宮(サングン、朝鮮王朝の女官)役でお茶の間のファンを感動させ、20年間の演技人生で最高の喝采を受けた女優の梁美京(ヤン・ミギョン/42)さんが、今年初舞台を踏む。
今月16日から2月22日までリトルエンジェルス芸術会館で行われる楽劇『憎くてももう一度』のヒロイン、スギョン役を射止めたのだ。
この楽劇は鄭素影(チョン・ソヨン)監督の68年作の映画『憎くてももう一度』を舞台化したもの。『大長今』では鹿のような澄んだ瞳で信念を貫き、世間の厳しい仕打ちでこの世を去るハン尚宮を演じ、多くの視聴者を泣かせた梁美京さんが、今回は息子と生き別れとなり短い人生を終える切ない表情で、再び観客の涙腺を刺激する。
普段の梁美京さんは物静かさと優雅さそのもののような人だ。化粧けのない梁美京さんが稽古場に訪れ、静かに座っていると、スタッフもそれに気がつかないことが多い。
インターンネットに開設されたファンのネットカフェの名前も「ラブ・ハン尚宮」や「端雅(端正で小ぢんまりしていること)美 梁美京」。会員は合わせて2万人を超える。40歳を過ぎた年齢で“ブレーク”することは容易ではないが、人気がこれほど急上昇しているのにここまで淡々とした俳優も少ないだろう。
インタrューの時の最初の一言も「昨年はとても幸せな1年でした」、「私の人生で変わったことは、正直ほとんどありません」という言葉だった。
「はっきりしない近道よりも確実に知っている道だけを歩く性格」という梁美京さんは、楽劇への出演の誘いがかかった時も、1カ月余迷ってから承諾したという。
「これまで半年間、肉体的にも精神的にもとても辛い毎日でした。1日が終わったらただ休みたいという思いしかありませんでした。舞台の演技をするには力不足ではないかと思って…」
そんな梁美京さんの心を動かしたのは「悲劇のヒロインを私なりのやり方で造形するのも悪くない」との思いだった。
「『憎くてももう一度』はあまりにも哀れですって?私にはこの作品が新派とは思えません。子どもを一人で育てるシングルマザーの生活は、どんなに苦しでしょうか。それでも人に頼らずに母性愛と愛の両方を手に入れるなんて、なんて強い女性でしょう。魅力的でした」
公演ポスターを撮影する際、涙を浮かべた表情を撮るために目薬を準備した制作陣は徒労に終わった。梁美京さんが「そんなもの必要ない」と感情を集中させると、10分で涙をこぼして見せたからだ。
泣く演技はこれまで数多くやってきた梁美京さんだが、一度も目薬は使ったことがないという。専門的な演技の授業を受けたことはないという梁美京さんは、一部の「プロ」のように「個人的に最も悲しかったことを思い出す」ことで涙を流すようなテクニックも使わない。
「ただ、劇中の感情に身をまかせる」という。正攻法の演技が最高だと信じる梁美京さんは、今回の舞台が「胸が躍る機会」だと言う。