カンボジアの代表的な遺跡、アンコール・ワットから北へ2.8キロ離れた所に、アンコールクラウという村がある。

 内戦を経験したカンボジアには、まだ600万個の地雷が残っていると推定される。アンコールクラウ村は地雷を踏んだ人々のために日本のNGO(非政府組織)「カンボジアの村を支援する会」が作った村だ。

 このアンコールクラウ村をフィルムに収めた『地雷の国-カンボジア』という韓国人作家の写真展が、日本の東京新宿にある「ニコンサロン」で7日から行われている。元文公部長官のドキュメンタリー写真作家、尹冑栄(ユン・ジュヨン/75)氏の個展だ。

 道端に何気なく並ぶ義足、体の一部を失っても明るい表情を失わない被害者たちとその家族の無邪気な表情が展示会場を満たしている。地雷被害という暗い部分を扱っているが、写真には絶望よりは人間愛が写し出されている。

 記者、教授、長官、国会議員、政治家などを歴任した尹氏が、初めてカンボジアを訪れたのは1999年。アンコール・ワットを観光しながら、道行く地雷被害者たちを見て、彼らをフィルムに収めようと決心した。

 「アンコールクラウ村に行く以前に、他の村を訪問した際に取材することを決心しました。ところが、その翌年に子供たちが使う鉛筆やノートなどをカバン一杯につめて再び訪れてみたら、すでにその村自体がなくなっていました」

 アンコールクラウ村はその後に作られた村だ。村が作られた2001年初めから4回にわたって10日ほどカンボジアに滞在して写真を撮ったという。展示会は20日まで行われる予定。

 ドキュメンタリー写真で有名な日本の写真作家、桑原史成さん(67)は「多くの困難を経験したカンボジアという国に対する愛情と人間愛に満ちた写真作品が見られる」と評した。

東京=崔洽(チェ・フプ)特派員

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