スターインタビュー
『NANTA』の夢のブロードウェー進出を果たした2人の主人公
米ニューヨーク・マンハッタンのブロードウェー42番街の一帯には、すべてが劇場だと言っても過言ではない、さまざまな40以上の劇場(客席300席以上)が立ち並んでいる。
このうちの一つ「ニュー・ビクトリー・シアター」で韓国の『NANTA』(乱打/サムルノリ(韓国古来から伝わる4種の打楽器で演奏すること)リズムを素材に舞台化した作品/米国タイトル『Cookin』)が25日(現地時間)に幕を上げ、10月19日まで公演される。
アジアの公演が出演料を得てブロードウェーの舞台に招かれたのは今回が初めて。
23日、ニュー・ビクトリー・シアターの舞台では、韓国から来た『NANTA』のスタッフ陣と劇場関係者らが舞台の設置作業に追われていた。
ニュー・ビクトリー・シアターはミュージカルの父、オスカー・ハマースタインが1900年にオープンした、ブロードウェーで最も由緒ある劇場だ。ニューヨーク市とニューヨーク州が非営利で運営し、ファミリー向けの専用劇場として大人から子供まで、幅広い世代が一緒に楽しめる作品の公演を行っている。
『NANTA』のブロードウェー進出に最も尽力したニュー・ビクトリー・シアターのプログラミング担当責任者のマリー・ローズ・ロイド氏と『NANTA』をプロデュースしたPMC代表の宋承桓(ソン・スンファン)氏に劇場の客席でインタビューした。
宋氏は1985年から4年間、ニューヨークで過ごしながら「韓国のミュージカルをブロードウェーに進出させることができるだろうか」と、漠然と夢見ていた。そして、その15年後の今、自分がプロデュースしたミュージカルでブロードウェーに初めて足を踏み入れた。
「初めてオファーを受けた時は非常に興奮しました。しかし、今は最もレベルの高いブロードウェーの観客たちから、どんな評価を受けるかという心配のほうが大きいです。ブロードウェーって物凄く排他的なんですよ」
心配する宋氏にロイド氏が「『NANTA』はすでに開始前からブロードウェーで成功している」とけしかけた。「期待した予想収益の90%を開幕前からすでに達成しているし、チケットの殆どが売り切れました」
『NANTA』はニュー・ビクトリー・シアターの2003~2004年シーズンのオープン作品だ。現地ブロードウェーの劇場主、ミュージカル投資家、制作者などの約100人を招待し、来週中にはニューヨーク・タイムズなど、現地メディアの評価によってその運命が決まる。
ロイド氏は『ナンタ』について、「シーズンの初の作品は、まず人々の関心を集めねばなりません。『ナンタ』の俳優たちは、素晴らしい鼓手でありながら多くの演劇経験を持っています。幼いころ母親がキッチンで料理していた音の記憶を甦らせながら、ミュージカルの中にストーリーを組み入れました。俳優たちの呼吸がぴったり合うことも強みのひとつです」と評した。
しかし宋氏には、2000年に英エディンバラで『ナンタ』を公演した際、ロイド氏に「ブロードウェーへ進出させて欲しい」と要請し、断られた辛い記憶がある。
「あの時なぜ断ったのか」との質問に、ロイド氏は微笑みながら「拒絶という表現よりは保留したという表現の方がいいでしょう」とした。
「当時、エディンバラはいろんな制限があり、舞台の上で実際に料理できないなど、『ナンタ』の真価を充分発揮することができませんでした。後に再びショーを観るチャンスがあり、エディンバラで観た以上のものを感じることができました」
同劇場は、年間34週間で10~12作品を上演しているが、ロイド氏は200以上の作品を観覧し、その中から選んでいるという。その基準は何だろうか。ロイド氏は「過去のブロードウェー観られなかったユニークさが肝心」とした。
『ナンタ』がブロードウェーに入城して以来、米国各地から公演の要請が殺到している。宋氏は今回の公演が成功すれば、直ちにブロードウェーで長期公演を行なうための専用館を建てる計画だ。
宋氏は「もし今回の公演が好評でなかったとしても、チャンスはここで終わるわけではない。米国で巡回公演を続けながら再度挑戦することもできる」と強い執念を表わした。果たして『ナンタ』はブロードウェーを乱打することができるか。
ニューヨーク=金ジェホ特派員