キム・ソナに聞く、パク・ポクチャと自分の共通点は?

キム・ソナに聞く、パク・ポクチャと自分の共通点は?

 「演技のために、周囲の人々を気遣えなかった。仕方なかった」

 女優キム・ソナ(41)が、女優として生きてきた20年は寂しかった、と昔を振り返った。キム・ソナは8月21日、ソウル市江南区ノンヒョン洞のカフェでイーデイリーの取材に応じ「演技をするとき、キャラクターを研究するため、周りに気が回らなかった」「女優になった後、演技に集中しようと、ばかばかしいくらいほとんど私生活は考えられなかった」と語った。

キム・ソナに聞く、パク・ポクチャと自分の共通点は?

 キム・ソナは8月19日に放送が終了した総合編成チャンネルJTBCのドラマ『品位ある彼女』でパク・ポクチャ役を演じた。パク・ポクチャというキャラクターは、キム・ソナ自身と似ているという。「パク・ポクチャは悪女というより、幼いころに負ったトラウマのせいで寂しさを感じている人物。このキャラクターの感情を完全に理解することはできないけれど、女優として生きる中で感じていた寂しさと似ていると思った」と語った。

 パク・ポクチャは持たざる者の底辺人生を歩み、会長の介護士として財閥一家に入り込んだ後、全てを奪うという人物だ。全てを持つ財閥一家の嫁ウ・アジン(キム・ヒソン)にあこがれ、嫉妬する余り、最後には破滅に至る。キム・ソナは、毒々しいが哀歓を感じさせる演技で好評を集めた。『品位ある彼女』は2%台の視聴率でスタートしたが、キム・ソナの熱演のおかげで、最終話ではその6倍(12.1%)にまで視聴率がアップした。これはJTBC金土ドラマの最高記録だ。キム・ソナは「視聴率にはあまりこだわらなかったが、予想よりずっと好評をいただいて驚いた。台本を初めてもらったとき、すごくユニークだと思ったけれど、視聴者の心に触れる何かがあったようだ」と語った。

 キム・ソナは「パク・ポクチャとして生きるため、とんでもないくらいキム・ソナを捨てた」という言葉で、撮影に臨んでいたころを振り返った。放送開始後、田舎っぽい服装やヘアスタイルをしたり、方言でしゃべったりすることも意に介さなかった。台本を読み込み、ひたすらパク・ポクチャというキャラにのめり込んだ。そのほかのことは制作陣に任せた。「こうでもしないと、パク・ポクチャという人物に100%のめり込むことはできないと思った」とキム・ソナは説明した。

 「40代になったけれど、まだ自分という人間がよく分からない。キャラクターをどれだけこなせるか、ということも。台本を全部読んで、パク・ポクチャを完全に理解できるかって? 不可能だ。少なくとも数カ月はキム・ソナではなく、パク・ポクチャとして生きることが、『品位ある彼女』への礼儀だと思った」

 『品位ある彼女』は事前制作ドラマで、今年初めに撮影が終わっていた。キム・ソナは最近、再びパク・ポクチャのようなヘアスタイルにした。最終回で自分の生きざまを振り返るパク・ポクチャのナレーションを聞いて、ふと昔を思い出した。

 「幸せになりたい。『品位ある彼女』のパク・ポクチャがそうだったように、私もまた幸せになりたい。パク・ポクチャがあくどいことをしていたのは、見方によっては、注意してくれる人がいなかったから。『品位ある彼女』は、私自身も感じるところが多い作品だった。こういう作品にまた出演できるかしら? 視聴者からすごく愛されたので、もう十分です」

イ・ジョンヒョン記者
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c)Chosunonline.com>
関連ニュース