【コラム】映画『軍艦島』は骨の髄まで愛国・反日映画だ

 太平洋戦争を舞台にしながら、『軍艦島』とは正反対の評価を受けている作品がある。先月、ソウル・明洞芸術劇場で初演され、好評を博した舞台『1945』だ。親日と反日、労働と抵抗のはざまを漂いながら生きなければならなかった光復(日本の敗戦=韓国の植民地からの解放)前後の朝鮮人たちを描いている。日本敗戦の知らせを聞き、故郷・朝鮮に帰ろうと満州(現:中国東北部)の救済所に集まった人々。その中には慰安所を脱出したミョンスクとミスクがいて、「私ももう少し生きなくてはいけないから、知らないふりをしてほしい」と哀願する慰安所の主人や彼女を愛するようになった客の男、子どもたちをわざわざ日本人の小学校に通わせた救済所の班長など、さまざまな人々が描かれている。

 待ちに待った新義州(現:北朝鮮西北部)行きの列車に乗り込む寸前、物語は破局に突き進む。ミョンスクとミスクが慰安婦で、ミスクはミズコという名の日本人だったことがばれたからだ。「この女二人を絶対に列車に乗せてはならない」という人々に対して、青年が異議を訴える。「つらい時代には自分だけ生き残ろうと顔を背けていたのに、今になってみんな独立闘士にでもなったかのように威張るんですね。私たちはみんなつらい目に遭ったんです。汚い泥水を、地獄を渡ってきたんです。みんな真っ黒になってあかにまみれたのは同じです。お互い洗い流してやらなければ。地獄から救い出さなければ」。脚本を担当したペ・サムシクは「みんな生きるためにもがいていた時代。絶対的な善人も、絶対的な悪人もいない。「敵味方を分けるのが論理と理性だ」という殻をかぶっていただけで、結局は暴力性にもつながっていた」と語った。

文化部=金潤徳(キム・ユンドク)次長
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