とはいえ、『オクジャ』の公開スタイルをめぐり、韓国やフランスなどでは鋭い論争が起きている。『オクジャ』は6月29日(韓国時間)に、世界190カ国のNETFLIXサービスを通して上映される予定だ。韓国では同日、NETFLIXと映画館で同時公開される計画。英国や米国でも映画館での公開を推進しているが、確定はしていない。
韓国の観客は映画館とNETFLIXのどちらか、鑑賞方法を選ぶことができるが、世界のほとんどの国では、NETFLIXを通してしか見ることができない。このためフランスの映画業界では「劇場よりオンラインを重視するNETFLIXの事業戦略が、映画市場の秩序を混乱させている」として強く反発した。
カンヌ映画祭は今年、NETFLIXが制作した映画を2本、コンペティション部門に登場させた。『オクジャ』と、米国映画『ザ・マイヤーウィッツ・ストーリーズ』(The Meyerowitz Stories. ノア・バームバック監督)だ。しかし、来年からはフランスの劇場で上映される映画のみをコンペティション部門に招待するという形で、関連の規定を変更した。『オクジャ』は、カンヌ映画祭の規定すら変えてしまうほどデリケートな争点になっているのだ。
こうした論争を意識したかのように、韓国の配給会社NEWの金佑沢(キム・ウテク)総括代表は「上映日数に制限をもうけず、映画館を通しても多くの韓国の観客が鑑賞できるようにしたい」と語った。しかし韓国国内のシネコンは、オンラインと劇場で同時公開するという『オクジャ』の手法に困惑の表情を隠せずにいる。ある映画館関係者は「映画館で新作をまず公開した後、DVDやオンライン上映を通して付加市場を拡大するという、現在の映画市場そのものを破壊する結果をもたらしかねない」と語った。