テレビドラマの新たな生き残り策「推理コード」

『被告人』『ボイス』など推理ドラマが人気
没入感が強く、視聴者があまり離れない…ミニシリーズの生き残り策として浮上

▲ドラマ『ボイス』の一場面。推理コードを積極的に織り込んだこのドラマは、平均視聴率5%(ニールセン・コリア調べ)を上回り、さらに人気を集めている。/写真=OCN
▲ ▲ドラマ『ボイス』の一場面。推理コードを積極的に織り込んだこのドラマは、平均視聴率5%(ニールセン・コリア調べ)を上回り、さらに人気を集めている。/写真=OCN

 パズルを解く。時間がたつにつれ、輪郭が現れてくる。パズルのピース同士を結び付きを見つけると、作業は一段とはかどる。時には、なくなったピースが現れたりもする。ピースの数が少なすぎても、多すぎてもつまらない。パズルの難易度が没入感を左右するからだ。この特性をドラマに取り入れたジャンルが「推理物」だ。

 「推理コード」がテレビドラマ界を駆け抜けている。刑事・犯罪ものに限られると思ったら大間違いだ。ドラマの最初から最後まで、しっかりした物語で視聴者の心をつかまなければならない「ミニシリーズ」の生き残り策として、最近登場した。

 視聴率22.2%(ニールセン・コリア調べ)を突破した『被告人』(SBS)は、記憶を失った検事パク・チョンウ(チソン)が、殺人の容疑で刑務所に収監されたという設定で始まった。パク・チョンウは、刑務所の懲罰房に爪で刻み付けた「パク・ポング」「16K」「ベルの音」という単語を手掛かりに、記憶のかけらを探し集める。10%台後半を行き来していた視聴率は、パク・チョンウが妻と娘を殺した真犯人ではないという事実が明らかになった第7話以降20%台に跳ね上がり、CJ E&Mとニールセン・コリアが放送コンテンツを対象に調査しているコンテンツ影響力指数(CPI)でも、2月第2週のテレビ番組部門でトップに立った。「私が殺した」と語るパク・チョンウの自白映像が発見されるなど突発変数が出てきて、なかなか組み上がらなかったパズルのピースが、7話から急速に合わさっていった。

 『ボイス』(OCN)は「ウンヒョン洞殺人事件」でそれぞれ妻と父親を失ったム・ジンヒョク(チャン・ヒョク)とカン・グォンジュ(イ・ハナ)が、真犯人を探す過程を描く。真犯人を追跡する「大きなパズル」の中に、女子高生誘拐事件、継母による児童殺害事件など「小さなパズル」をはめこむという、「入れ子」タイプのドラマだ。演出を手掛けるキム・ホンソン・プロデューサー(PD)は「事件が一つ解決すると、メーンストーリーとなる『真犯人探し』の糸口が提供されるという構造。推理の過程にあらかじめ配置された仕掛けを見つけていく面白みが見どころ」と語った。

 視聴者の離脱も少ない。ミニシリーズは、50話を超える帯ドラマや大河ドラマに比べ、チャンネルを変えてしまう「離脱視聴者」が多い。うわさが出回るだけですぐに視聴率の逆転が起こる分野だ。ラスト4話を残して視聴率逆転に成功した『ショッピング王ルイ』(MBC)や、放送開始直後のたった4話で、10%近く離されていたほかの作品に追いついた『キム課長』(KBS)などがその例。「推理コード」は、1話を一種の関門にして、視聴者が「最後まで」コンテンツに熱中するように引っ張り込む。

 放映間近の新ミニシリーズも、推理コードを織り込んだ。『ボイス』の後番組となる『トンネル』は、1986年に生きていた刑事(チェ・ジニョク)が2016年にタイムスリップして、過去と現在のつながりを探していくストーリー。『キム課長』の後番組は、探偵ユ・ソルオク(チェ・ガンヒ)が迷宮入りした事件を解決する『推理の女王』だ。『トンネル』のキム・ソンミンPDは「30年後に再び始まった連続殺人事件を解決していく、タイムスリップ型の刑事推理ドラマ」と説明した。

パク・サンヒョン記者
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