IUの歌『Someday』、著作権侵害に当たらず

原告の曲のリフレーン部分は「一種の慣用句」
大法院、原告の曲の創作性認めず二審判決を破棄

 作曲家キム・シンイルさんと、歌手IUさん(本名・李知恩〈イ・ジウン〉)の歌『Someday』を作曲したパク・チニョンさんの間で5年にわたって続いた 著作権侵害訴訟。大法院(日本の最高裁判所に相当)は13日「パクさんがキムさんに金を支払うべきだ」という二審判決を破棄し、パクさんの主張を認める趣旨で、審理をソウル高裁に差し戻した。

 今回の訴訟のような著作権侵害訴訟で核心となるのは「類似性」をめぐる争いだ。このため一・二審では必要に応じ、法定で映画を上映したり歌を流したりし、作曲者に対する尋問も行う。一方、大法院は原則として書面での審査だけを行う。だが、二つの楽曲が似ているかどうかを判断するため、裁判官や秘書官が、書面とともに証拠として提出された楽曲を個人的に聞くこともできる。通常は主審を務める裁判官と、当該訴訟を担当する秘書官だけが楽曲を聴くが、意見の違いが大きい場合は合議に加わるほかの裁判官たちも一緒に楽曲を聴くケースがあるという。著作権侵害訴訟の審理を多く経験したある大法院裁判官は「この程度の事件であれば、類似性を判断するため、少なくとも主審の裁判官は歌を聴いたはずだ」と指摘した。

 今回の訴訟でキム・シンイルさんは、2011年にパク・チニョンさんが作曲した『Someday』が、自ら作曲した歌手ASHの歌『私の男へ』と、リフレーン部分の歌詞の語句八つが似ているとして、パクさんを相手取り1億1000万ウォン(現在のレートで約1160万円)の賠償を求め提訴した。これに対しパクさんは、キムさんの曲自体に創作性がないと主張した。楽曲Aが楽曲Bの盗作であると認められるためには、まず楽曲Bが著作権法により保護される創作物である必要があるが、キムさんの曲のリフレーン部分は多くの作曲家たちが用いる一種の慣用句のようなものだと主張したのだ。一審はキムさんの曲がそれなりに創作性が認められるとして、パクさんがキムさんに約2100万ウォン(約220万円)を支払うよう命じた。

 二審は問題のリフレーン部分が、楽曲の中に占める割合が大きいとして、賠償額を約5600万ウォン(約590万円)に引き上げた。ところが大法院は今回、キムさんの曲の創作性を認めず、審理を高裁に差し戻したことで、パクさんの主張を認める形となった。

ヤン・ウンギョン法曹専門記者
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