インタビュー:チソン、『Kill Me, Heal Me』の撮影を振り返る

解離性同一性障害により七つの人格を持つ役に挑戦

▲3月17日に飲食店で会ったチソンは「虐待を受ける子どもたちの演技を見ながら、とめどなく涙があふれた。演技ではなかった。制作スタッフも『カット』と言えなかった」と語った。/写真提供=ナムアクターズ
▲ ▲3月17日に飲食店で会ったチソンは「虐待を受ける子どもたちの演技を見ながら、とめどなく涙があふれた。演技ではなかった。制作スタッフも『カット』と言えなかった」と語った。/写真提供=ナムアクターズ

 俳優チソンは2カ月間、七つの自我を持って過ごした。「精神に問題があるけれど、結局は打ち勝つ。最近の不安な世の中が生んだ役と言えるだろう」。3月12日に終了したドラマ『Kill Me, Heal Me』で主人公を演じたチソンの言葉だ。

 このドラマは解離性同一性障害を扱った。チソンは、幼いころに受けた虐待の衝撃から七つの人格を持つようになった財閥御曹司チャ・ドヒョン役を演じた。チャ・ドヒョンだけでなく、悪い男(シン・セギ)、全羅道のマドロス(ペリー・パク)、17歳の女子高生(アン・ヨナ)、悲観論者(アン・ヨソプ)、7歳の女児(ナナ)など、全て内面に傷を抱えたキャラクターだ。チソンは「ほかのものは差し置いても、子どもたちには限りない愛を与えるべきだ。ドラマも視聴率にこだわるのではなく、そんな社会的メッセージを伝えなければならない」と語った。「特に、自殺したい衝動に駆られていたヨソプの自我が記憶に残っている。ヨソプの姿を通じ、弱気になっている人たちに、希望と生きる意味を伝えたかった」。チソンは最終回でフランスの詩人ヴァレリーの詩を詠む。「『風が吹く。生きねばならぬ』。このセリフでなぜあんなに涙が出たのか…」

 1999年にデビューし、俳優生活16年のベテランだが、今回のドラマを通じ、初めて演技派俳優の仲間入りをしたといえる。相手役のファン・ジョンウムが「チソンさんの演技を見ていて、自分のセリフを忘れてしまった」と話したほどだ。「(このドラマでなければ)僕がいつ女子高生の制服を着て、アイラインを描き、麗水の方言を話しながら崩れることがあるだろうか。できることは全部したので、悔いはない」。一人でワンマンショーに近い分量をこなしたため、たちまち体力も消耗した。3月3日には、撮影の準備中に突然声が出なくなり、急性喉頭炎と診断された。医師が止めたのにもかかわらず、チソンは撮影現場に向かい「撮影終了間近になって演技ができないのはもっと大きなストレス」と語った。

 6月ごろ父親になるチソンは「撮影に追われ、妻(女優イ・ボヨン)のそばにいてあげられず申し訳ない」と話した。

チョン・サンヒョク記者
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c)Chosunonline.com>
関連ニュース