恋愛心理のプロが描くラブストーリー=『恋愛の発見』

光る感覚的な映像・セリフ…主演も助演も安定した演技

似たり寄ったりの内容繰り返しは残念

恋愛心理のプロが描くラブストーリー=『恋愛の発見』

 「また?」。タイトルを聞いただけでも「うっ」と思うかもしれない。テレビではなぜ毎日色恋ざたなのか。政治・経済・社会などあらゆる分野で課題が山積しているというのに。5年付き合って別れた「元カレ」と「今カレ」のはざまでヒロインが葛藤(かっとう)する物語だという。ストーリーもありがち…と思って見ているうちに、いつの間にかインターネットで「名セリフ集」を検索している自分に気付くかもしれない。KBS第2の月火ドラマ『恋愛の発見』のことだ。

 出生の秘密やシンデレラストーリー、露骨な感情の爆発もない。ただ若い男女が惚れた腫れたと恋をする姿だけを淡々と見せる。このドラマはtvN『ロマンスが必要』をシーズン3まで手掛けた脚本家チョン・ヒョンジョンの地上波復帰作ということで、当初から関心が寄せられていた。ストレートできわどい表現により、30-40代の熱狂的な女性ファンを獲得してきた恋愛心理のプロ、チョン・ヒョンジョンは登場人物の内面をセリフに溶け込ませ、輝かせる。

 「恋って感情の問題だと思ってたけど、意志の問題だったんだ」とか「電車に乗って10分もしないのに話すことがなくなった。この男は変わった。そしてこの恋は終わったのね」と嘆くヒロイン役チョン・ユミのセリフがそれだ。磁気共鳴画像装置(MRI)でのぞき見たかのように恋愛心理を端的に表している。「毎日待たせる人。私より大切なものがすごくたくさんある人。私のことが好きと言っておきながら、私のことをこんなにぞんざいに扱えるの?」などのセリフは、テレビを見ながらおしりをかいている大勢の男たちをドキッとさせる。

 映像と感覚的なセリフの相性もすばらしい。ドキュメンタリーのインタビュー手法なのだが、ドラマのストーリーが繰り広げられている間、出演者たちがカメラを見詰め、心の奥底にある言葉をはき出すというものだ。映画『猟奇的な彼女』やドラマ『火の鳥』などのパロディーも随所に入る。「ケーブルテレビチャンネルのドラマみたいだ」という評も感覚的な演出に対する称賛だ。

 演技も、主演・助演関係なく安定しているが、特に『SNLコリア』(tvN)のマスコット的存在だったキム・スルギや、『ブッとび! ヨンエさん』(tvN)の嫌みな印刷所社長イ・スンジュンなど、おなじみの面々が「ケーブルっぽい」感じに一役買っている。ここにSWEET SORROWやJ Rabbitなどビタースイートな曲が得意なミュージシャンたちの主題歌・挿入歌が流れれば、見れば見るほど「恋愛細胞」が自然によみがえるのだ。

 リアルな恋を描いているというが、人気ドラマ脚本家を母に持つ30代のアトリエ社長(チョン・ユミ)、建設会社代表(SHINHWAエリック)、富豪の御曹司の整形外科医(ソンジュン)の恋愛ゲームは、どこか外国の話のようにも見える。家、ショップ、レストランに至るまで、登場する場所は全てオシャレだし(間接広告のおかげでもある)、日常生活のほとんどを恋に費やしている感じも同じだ。このため、話数が進むほど同じ言葉とストーリーの混乱が続く。「単発ドラマで扱うべき素材を16話分に引き延ばしているのでは?」と疑いたくもなるが、どうだろうか。私たちの人生ももともと、同じ言葉の繰り返しやストーリーの混乱でつづられているのだから。

兪碩在(ユ・ソクチェ)記者
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c)Chosunonline.com>
関連ニュース