韓国ミュージカル、資金難で中止・延期相次ぐ

規模ばかり膨らんだ3000億ウォンのミュージカル市場
10年間で3倍に成長、昨年2500本上演…人気俳優のギャラは1回数千万ウォン
海外原作者への著作権料10%も負担、チケット高く観客増えない悪循環
「今は過渡期」

韓国ミュージカル、資金難で中止・延期相次ぐ

■市場拡大で供給過多に
 韓国国内のミュージカル産業は、2001年にライセンス・ミュージカル『オペラ座の怪人』が公演に成功したのをきっかけに巨大な市場へと変ぼうした。この10年間に市場規模は1000億ウォン(約100億円)台から3000億ウォン(約300億円)台へと約3倍に膨らみ、最近5年間のミュージカル作品制作本数は毎年平均12%ずつ増えていた。昨年1年間に上演されたミュージカルは2500本に達し、このうち約150本が新作だった。「世界3大ミュージカル都市はニューヨーク、ロンドン、そしてソウル」と言われたほどだ。

 1日現在の公演状況を見ると、ソウル・芸術の殿堂(『ドラキュラ』『四十二番街』)、世宗文化会館(『モーツァルト!』『サリエリ』)、国立劇場(『二都物語』)、LGアート・センター(『プリシラ』)など、この夏ソウルの主な公演会場で上演される作品はすべてミュージカルだ。忠武アート・ホール(『雨に唄えば』)、ブルー・スクエア(『キャッツ』)、シャルロッテ・シアター(『ウィキッド』)、弘益大大学路アート・センター(『ブラッド・ブラザーズ』)などの専用劇場でもミュージカル公演が行われている。

 しかし、観客数がそれほど増えていないことは業界の「公然の秘密」だ。チケット購入者の80-90%を20-30代の女性が占めるほど観客の層が偏っており、このうちかなりの人数が同じ作品を複数回観賞する、いわゆる「リピーター」なので錯覚を起こしかねない。制作会社は、こうした観客たちをターゲットに売上を伸ばすため、オリジナル作品ではなく海外の有名作品を輸入する形のライセンス・ミュージカルを上演しようとしている。

■「市場構造改革の過渡期と見るべき」
 上で言及した10作品のうち、『サリエリ』以外はすべて海外ミュージカルの韓国版だ。総収入の最大10%という金額が原作者に支払われる上、キャスティング競争で出演料が跳ね上がり、人気俳優の1回の出演料は最高で数千万ウォン(1000万ウォン=約100万円)にまで達している。このため、制作会社の収益額が減る一方で、最高13万-14万ウォン(約1万3000-1万4000円)というチケット価格は下げられなくなり、これが新たな観客層の形成を妨げるという悪循環に陥っている。また、今年4月の旅客船「セウォル号」沈没事故はミュージカル公演に対する消費者心理を委縮させ、決定的な打撃となった。

 しかし、現在のミュージカル産業の危機は「ミュージカルが根付く過渡期にあるから」という見方もある。弘益大学公演芸術大学院のユン・ホジン院長は「過度に規模が膨らんだミュージカル市場は構造改革の過程にあると見るべき。最終的には質の良い作品を上演し、観客のことを1回でも多く考える制作会社が生き残ることになるだろう」と語った。

兪碩在(ユ・ソクチェ)記者
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