韓国ミュージカル、資金難で中止・延期相次ぐ

規模ばかり膨らんだ3000億ウォンのミュージカル市場
10年間で3倍に成長、昨年2500本上演…人気俳優のギャラは1回数千万ウォン
海外原作者への著作権料10%も負担、チケット高く観客増えない悪循環
「今は過渡期」

韓国ミュージカル、資金難で中止・延期相次ぐ

 「長年のウミが出た」

 7月29日、ミュージカル『二都物語』の突然の公演取り消しに対する、業界や観客の反応だ。このミュージカルは6月末に国立劇場「ヘオルム劇場」で開幕、同日午後8時には第44回公演が行われる予定だったが、公演1分前に突然、制作会社「BOM korea」のチェ・ヨンソク代表がステージに上がって頭を下げ、観客に公演中止を告げた。

 公演は30日から再開されたが、インターネット上には「理由も説明せずに公演を取りやめるなんて話にならない」と不満の声が相次いでいる。制作会社側は31日になっても公演中止の理由を明らかにしていないが、「俳優やスタッフに支払わなければならない給与が1週間ほど遅れ、一部が当日の公演を拒否したため」と関係者は話している。

■公演中止・延期相次ぐ
 問題は、この出来事が韓国ミュージカル市場の危機を如実に物語っていることだ。公演企画会社関係者A氏は「俳優への出演料支払いが遅れるということは時々あることだが、これまでは『ひとまず舞台に上がろう』となっていた」と話す。制作費数十億ウォン(10億ウォン=約1億円)をかけ、大規模なミュージカルを上演する制作会社が、出演料を支払日に払えないほど資金繰りが難しくなっているということだ。代表的なミュージカル制作会社「SEOL & COMPANY」のソル・ドユン代表も先日、「ミュージカル市場は非常事態にある。制作会社各社はそれぞれ『うちの会社はつぶれるかもしれない』と思っている」と打ち明けたほどだ。

 現に、破たんした制作会社もある。中堅制作会社の「ミュージカル・ヘブン」は予定されていた『スウィーニー・トッド』『あしながおじさん』の公演を中止した直後の6月、法定管理(会社更生法適用に相当)に入った。『スウィーニー・トッド』では有名俳優B氏が出演を断ったため主な投資家が投資を撤回、同社は資金難に陥っていたという。ミュージカル『トップ・ハット』『嵐が丘』など、今年延期されたり中止されたりしたミュージカルは10作品を上回る。

兪碩在(ユ・ソクチェ)記者
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