時が止まった静かな島、仁川沖の「喬桐島」

 仁川沖にある喬桐島は、ひっそりとした寂しい島だ。道を歩けば虫やカエルが驚いて逃げ、静かに座って島の景色に溶け込んでいると「休息」という言葉が自然と思い浮かぶ。

 西海5島(西海〈黄海〉沖の北方限界線〈NLL〉近くにある五つの島)より北朝鮮に近く、開発対象から除外されているこの島は、今になって、自然が破壊されておらず静かな島ということで旅行マニアの間で人気が高まり、名所中の名所とされている。

ひっそり静かな喬桐島では、秋を迎えて稲の穂が黄色に色づいている。
▲ ひっそり静かな喬桐島では、秋を迎えて稲の穂が黄色に色づいている。

 喬桐島は仁川・江華島に属している。唯一のアクセス手段は船だ。陸地と島を結ぶ喬桐連陸橋(連絡橋)が建設中だが、今は船でしか行けない。喬桐島行きの船は江華島の倉後里船着場で切符を購入し、乗船申告書に記入すれば乗れる。大人2300ウォン(約210円)、子ども1200ウォン(約110円)。喬桐島までは所要時間約15分。

 島に着くと「笑いと希望、そして愛があふれる喬桐」というフレーズが私たちを歓迎してくれる。そして、秋を告げるコスモスと、黄色くたわわに実った稲の穂が、島に着いた乗客たちを出迎える。また、道なりに歩いていくと、歯をむき出しにして笑うチャンスン(村の入り口などにある、細長い木に人の顔を彫った神像)が見えてくる。

喬桐島の道端で訪問客を出迎えるコスモス。
▲ 喬桐島の道端で訪問客を出迎えるコスモス。

 喬桐島で最初に行きたい場所は「喬桐大橋」だ。かつて、中国と地理的に近い島は、海上交通の要所として利用された。当時、中国の船が初めて停泊した場所に喬桐郷校(朝鮮王朝時代の地方教育機関)を建て、儒教の創始者である孔子の肖像を安置した。その後、郷校は韓国初の地方の農民・庶民の教育機関となった。

 現在、教育機関としての機能を失った郷校は、毎月2回(陰暦の1日、15日)、郷土文化の保存と発展について話し合う場所となっている。また、5人の聖人(孔子、顔子、曽子、子思子、孟子)や宋朝二賢(程子、周子)、韓国の18賢(李滉〈イ・ファン〉、李珥〈イ・イ〉、鄭夢週〈チョン・モンジュ〉、崔致遠〈チェ・チウォン〉、宋時烈〈ソン・シヨル〉ら)の位はいがまつられている。見学する場合には郷校横の案内所に声を掛ければよい。

韓国で初めて、地方の農民・庶民のための教育機関として使われた「喬桐郷校」。
▲ 韓国で初めて、地方の農民・庶民のための教育機関として使われた「喬桐郷校」。

 次に行くのは華蓋山(259.6メートル)だ。

 郷校の脇道から1時間半ほど山あいの道を歩くと、湧き水の量によって朝鮮王朝時代の官職「文官」と「武官」の輩出を左右した「文武井」をはじめ、連絡をやりとりする「華蓋山噴水台」跡、敵の侵入を防ぐために作られた「華蓋山城」など、歴史の痕跡に触れることができる。

 木の生い茂った山林の中を歩いていくと、松の香りや、さまざまな秋の花の香りが鼻をくすぐる。

天気の良い日には、華蓋山の頂上から北朝鮮が見える。
▲ 天気の良い日には、華蓋山の頂上から北朝鮮が見える。

 頂上から見下ろした島は、二つの姿を見せていた。南方には喬桐島近くの島々が、北方には北朝鮮の大地が、一目で見渡せる。

 山の頂上から北朝鮮までの距離は約7キロ。天気が良ければはっきりと見える。

 頂上のあずまやに座って休みながら景色を見渡したら、次の目的地は「テリョン市場」だ。

 バラエティー番組の人気コーナー「1泊2日」江華島編に出て一気に知名度がアップしたテリョン市場は、1980年代のまま時間が止まったような、路地裏の小さな市場だ。島で最も栄えている場所だが、どこの地方の街より小さい。全長は400メートルほど。早足なら10分あれば端から端まで歩ける。

1980年代のまま時間が止まったような、細い路地にある小さな市場「テリョン市場」。看板は古びているが、営業は続けている。
▲ 1980年代のまま時間が止まったような、細い路地にある小さな市場「テリョン市場」。看板は古びているが、営業は続けている。

 短い路地だが、必要なものは全てある。美容院、軽食店、チキン専門店、電器店、理髪店などが、狭い路地の両側にずらりと並んでいる。面白いのは、古くなって字が消えかかったり上塗りされたりしている看板だ。どこかあか抜けないが、懐かしい気持ちになる。

 喬桐島をもっと詳しく、くまなく知りたいなら、江華ナドルギル(遊歩道)を歩いてみよう。ナドルギルとは「お出掛け気分で歩く道」という意味で、江華島に9カ所、喬桐島、席毛島、ポウム島、注文島に5カ所、コースがある。喬桐島コースは、江華ナドルギルの公式サイトの第9コース、第10コースを参照していただきたい。

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