インタビュー:イ・ジョンヒョン「映画の仕事がしたかった」

 どこかに消えたかと思ったら、いつのまにか再び現れた―。歌手で女優のイ・ジョンヒョン(32)のことだ。イ・ジョンヒョンについては、映画『つぼみ』の少女として記憶している人もいれば、指に小型マイクを付けて「わたしを見て、よく見て…」と歌う姿を覚えている人もいる。名前よりイメージが記憶に残っている。人というより、キャラクターだったといえる。とにかく、思い出されるのは狂気あるいは霊気に満ちた「少女」の姿だ。

 イ・ジョンヒョンに会ったのは、ソウル市鍾路区三清洞にあるカフェだった。映画『未熟な犯罪者』(カン・イグァン監督)の公開を控え、テーブル越しに向かい合ったイ・ジョンヒョンは、10代の少女のようにうきうきした様子だった。「映画の仕事がとてもしたかったんです」。イ・ジョンヒョンは今回の映画で、複雑な事情を持つ未婚の母ヒョスンを演じているが、そのヒョスンのような話しぶりだった。年は重ねているものの、まるで少女のように、若い声で切実な思いを語り続けた。

 「作品がなかったわけじゃないんです。役が毎回同じなのが問題だったんですよ。ホラーか、そうでなければ狂気に満ちたキャラクター。中国や日本など、海外に行くしかなかったんです」

 再び道を開いてくれたのは、パク・チャヌク監督だった。イ・ジョンヒョンは2010年、パク・チャヌク監督がスマートフォン(多機能携帯電話端末)で撮影した短編映画『波乱万丈』に出演し、これが映画界復帰のチャンスとなった。長編映画は2000年のホラー映画『ハーピー』以来、12年ぶりだ。

 イ・ジョンヒョンは「『未熟な犯罪者』と間もなくクランクイン予定の大作『鳴梁(ミョンリャン)―渦巻く海』は、いずれも『波乱万丈』を見てオファーをくださった。『波乱万丈』でも(今までと同じように不気味な)巫女(みこ)の役だったが、わたしのことを覚えていてオファーをくださったパク・チャヌク監督に感謝したい」と語った。

 映画『未熟な犯罪者』は、望まない子を出産した未婚の母ヒョスンと、親に捨てられた息子ジグを襲う悲劇を描いた作品。母子は必死に生きようともがくが、皮肉にも二人は同じ道を歩む。息子のジグは偶然、窃盗事件に巻き込まれ「犯罪少年」となる。ジグは交際していた女性を妊娠させ、未婚の母にしてしまうが、それを聞いて怒り狂う母親役イ・ジョンヒョンの演技が圧巻だ。旅館で息子を殴り続けるが、その激しさに、ジグ役のソ・ヨンジュが驚いてせりふを忘れてしまうほどだった。

 「あの場面ではヨンジュ君が驚いて、NGを10回以上出した。戸惑ったようだ。直前まで天使のようなお姉さんだったのに、突然一変して全く違う顔を見せたのだから…。ヨンジュ君は若いから『つぼみ』や『WA―Come On―』『DaTo―パックォ―』など、かつての私の活動を知らないだけに、ショックが余計に大きかったと思う」

 小柄な体のどこからそんな力が出てくるのか尋ねてみた。すると、イ・ジョンヒョンは「分からない」と言って笑いながら「体にいい物をたくさん食べているからかな」と穏やかに答えた。

 イ・ジョンヒョンはヒョスンを演じながら、デビューしたころの自分を思い出したという。イ・ジョンヒョンもヒョスンも32歳、同い年だ。ヒョスンが突然の妊娠によって母親になった年に、イ・ジョンヒョンは映画『つぼみ』(1996年)でデビューした。人生のちょうど半分を芸能人として過ごしているわけだ。イ・ジョンヒョンは「時がたつのは本当に早い」と自身のこれまでを振り返るように語った。

 来年初めには2年ぶりとなるアルバムをリリースし、歌手活動を再開する。アルバムはアジア同時発売を予定している。イ・ジョンヒョンは「『未熟な犯罪者』の撮影ではスタッフが全員韓国語で話していたので、とても気楽でよかった。今後は海外での活動だけでなく、韓国での活動にも熱心に取り組みたい」と意気込みを語った。

チェ・ウンヨン記者
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