チョン・ジヒョン(30)が変わった。
「こんな風に生まれてくるのは簡単じゃないのよ」と真顔で言う。突然キスをされても驚いた様子はゼロ。逆に「ちょっと唇の力抜いてよ!」と忠告する。「トンデモ女」なだけではない。口さえ開けば「わい談」が飛び出す。しかも「ニコチン中毒」でチェーンスモーカーのチョン・ジヒョンなんて…。
映画『10人の泥棒たち』(チェ・ドンフン監督、ケッパー・フィルム制作)でロープ使いの達人の泥棒「エニーコール」のことだ。そして、次からはチョン・ジヒョン自身の話。チョン・ジヒョンは4年ぶりにスクリーンに復帰、「『10人の泥棒たち』のルックス担当」と自己紹介した。また、キム・ヘスとの美ぼう対決に「バストの大きさからして違う」と挑発的な発言をし、周囲を驚かせた。
『10人の泥棒たち』を機に、チョン・ジヒョンのビフォー・アフターがガラリと変わった。撮影の間に一体何があったのだろうか。
■『10人の泥棒たち』で一番恩恵を受けた…「感じるものがありました」
何事にも慎重だった前所属事務所サイダスのころについて聞くと、チョン・ジヒョンは「自ら壁を作っていた」と認めた。
「あのころはすべてに不慣れで難しく思っていました。なぜなら、よく分からないから。今はデビュー15年目。子どものころのように何も言わないで慎重になっていたらおかしいでしょう。これが本当のわたしです。人はそうすぐには変わりませんから」
結婚した影響もあるのかと聞くと「確かに余裕はできましたが、それがすべてではありません」と答えた。それよりも共演者が全員兄弟姉妹のようだった『10人の泥棒たち』のチームワークがリラックスさせてくれ、気持ちよかったそうだ。
「キム・ユンソク先輩も言っていましたが、『10人の泥棒たち』の撮影現場にスターはいませんでした。俳優がいるだけです。信じ難いことですが、実際にそうでした」
インタビューの間ずっと明るく、キラキラしていた。この作品にはキム・ユンソク、キム・ヘス、イ・ジョンジェ、キム・スヒョンら人気も実力もそうそうたる俳優たちが出演するが、その中でもチョン・ジヒョンは特にはじけている。「おいしいせりふ」はほとんどチョン・ジヒョンの口から飛び出す。映画のオープニングもエンディングもチョン・ジヒョンが飾っている。
「台本をもらってすぐ、胸に感じるものがありました。チェ・ドンフン監督は大好きな先輩のご主人。映画『4人の食卓』(2003年)でご一緒したアン・スヒョン・プロデューサーを通じて『10人の泥棒たち』という作品が制作されることを知り、自然とやりとりするうちに出演することになりました。登場人物のキャラクターを前面に押し出した映画、女優にはキャスティングされにくい強烈なキャラの役、そしてヒットメーカーの監督が手掛ける作品…。『とにかくやりたい』と思いました」
危険なアクション、普段は口にすることもない毒舌、ひっきりなしに吸い続けるたばこが問題になることはなかった。アクションとたばこは『ラスト・ブラッド』(09年)、『星から来た男』(08年)ですでに経験済み。毒舌はむしろもっとひどくもできたが、監督がストップを掛けたため我慢したという。だからといって楽だったわけでもない。
「自分ではうまくできると思っていました。『私はアクション俳優だ。心配するな』。監督にも大声でバンバン言いました。後で気付いたんですが、あったのは自信だけでした(笑)」