韓国映画の新たなキーワードは「多文化」

韓国映画の新たなキーワードは「多文化」

 マンホ:(驚いたようにボンジョを見詰めて)「これから代表チームで外国人選手も使うの? 戦略的帰化?」

 ボンジョ:「もう、違いますよ! こう見えても忠南(忠清南道)温陽の出身ですから。一応両班(朝鮮時代の特権階級)の家系ですよ。母ちゃんが元ミス・ケニアなんです。私が先輩のルームメートです。ふふ」

 19日に封切られるキム・ダルジュン監督の映画『ペースメーカー』の一場面だ。ボンジョはマラソン国家代表チームの最年少メンバーで、主人公マンホ(キム・ミョンミン)のルームメートだ。黒い肌に天然パーマの髪を持つ、多文化家庭(国際結婚家庭)で育った韓国人だ。

 この映画は、韓国社会に深く根付き始めている「多文化」をいち早く取り入れている。結婚する夫婦10組のうち1組が国際結婚(2010年時点)で、2006年に2万5000人だった多文化家庭の子どもの数は、2010年には16万人と7倍ほどに急増した。この現実を映画にそのまま反映させている。

 厳密にいうと、映画よりもさらに早く多文化を扱ったのはテレビドラマだ。SBSの『ハノイの花嫁』(2005)や、『黄金の新婦』(2007)のようなドラマで、すでにベトナム人女性と韓国人男性の結婚を扱った。しかし「国境を越えた男女のラブストーリーに重きを置きすぎるなど、多文化家庭に対する問題意識が不足している」との指摘も出ていた。

 一方、映画は、多様なテーマを現実的に描き出すことができるというメディアの特性上、多文化社会をありのままに盛り込んでいると評価される。シン・ドンイル監督の『僕たちはバンドゥビ』(2009)や、ユク・サンヒョ監督の『パンガパンガ』(2010)は、当時社会問題として浮上していた外国人労働者への不当待遇問題を扱い、映画界の注目を集めたケースだ。『僕たちはバンドゥビ』では、バングラデシュ出身の労働者(マブップ・アラム)と女子高生(ペク・チンヒ)の交流を、『パンガパンガ』では、外国人労働者のふりをして偽装就労する青年失業者パンガ(キム・イングォン)を描いた。『パンガパンガ』は製作費が8億ウォン(約5300万円)と低予算だったが、100万人の観客を動員し、興行的にも成功した。

 多文化家庭を本格的に扱った映画は、昨年上映されたイ・ハン監督の『ワンドゥク』(写真)だ。封切り前までは、脊椎損傷の障害を持つ父親(パク・スヨン)とフィリピン出身の母親(イ・ジャスミン)の間に生まれたワンドゥクを主人公にした同映画が、観客動員数500万人を超える「大ヒット」となるなどとは、誰も予想できなかった。ワンドゥクの家庭だけでなく、この映画には「多文化」について考えさせるシーンがあちらこちらに埋め込まれている。ワンドゥクの担任教諭(キム・ユンソク)は教会で外国人労働者の世話をし、ワンドゥクがキックボクシングを習っている体育館にも外国人労働者がいる。

 映画評論家のチョン・チャンイル氏は「この映画は社会変化を反映しているだけでなく、方向まで提示している望ましいケースだ。多文化家庭や外国人労働者に対する同情的な視線を抑え、彼らが我々とともに生きていく社会構成員だということを、説得力を持って扱った」と話した。ある映画製作会社は「現実的に多文化家庭や外国人労働者が急増しているので、これを反映しないわけにはいかない。すでに社会現象となって久しいため、観客も抵抗感を持たなくなった。今後も多文化を扱った映画はさらに増えるだろう」と話している。

卞熙媛(ピョン・ヒウォン)記者
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