―自身で好きなシーン、思い入れのあるシーンは。
「16話ぐらいのミニシリーズなら、そのうち感情がよく表されるシーンは4、5回ぐらいで多いという感じなのですが、今回は30話の中で、感情のシーンが毎回のように、何度もあって思い出のシーンがたくさんありすぎて…。視聴者の方には、マルがウリに近づきたいが近づけない感情シーンで、手のひらをはさんでキスするシーンが愛されたようですが、いいシーンだったと思います。自分は、母が自分のことを裏切ったと知ったとき、拘束された状態で母に感情をぶつけるシーンが一番心に残っていますね」
―この作品で俳優としての評価も高まりましたが、そのことについてどう思いますか。
「これまでも一生懸命演技してきたんですが、今回多くの方に評価していただき、感謝でいっぱいです。でも自分が急に演技がうまくなったというわけではなく、いい監督と言い作家、自分に合ったキャラだったからでしょう(笑)」
―では、自身の満足度、何点を付けますか。
「自分の演技を自分で評価するのは恥ずかしいです。でもぎごちなくとか、無理してやろうとしたところはまったくなかったと思います。演技が良かったというより、作家が非常によく書いてくれたので…80点というところでしょうか」
―話は変わりますが、大学時代に、MBCタレントオーディションをきっかけにいろいろなオーディションを受けて、この道に入ったそうですが、最初から俳優を目指していたのでしょうか。
「父親が教育者で、幼いころから親の言うことをよく聞く子で、親の希望通り、いい学校に行って、いい会社に就職して、と思っていたんですが、大学の専攻が自分の適正と合わないところに行ってしまい、学校にもあまり行かなくなって、初めて自分はどういうことをすべきかと考えたんです。小さいころから、時間に合わせて学校に行くことが苦痛だったので、何かフリーランサーの仕事ができればと漠然と思っていたとき、テレビでタレント試験をやるというのを見て、行ってみようかと母親に話したところ、思い出作りに行ってみれば、と言ってくれたんです。母は一度受ければあきらめると思ったからのようですが、行ってみて、自分がやりたいのはこういうことだ、と思ってハマっていきました」
―08年10月に除隊されてから、復帰作の『セレブの誕生』まで1年半近くありましたが、時間をかけた理由は。
「特に時間をかけようと思っていたわけではないんです。軍隊に行く前は、正直あせるような気持ちがあったのですが、行ってからは余裕が生まれました。自分に合うキャラクターやドラマを捜していたら遅くなりました。でも振り返ってみると、その考えは間違っていたようです。いい作家・監督であれば、自分に合わないと思っても挑戦していくべきだと思いました。これからは、空白期間をあまりおかないで挑戦していきたいと思っています」
―ジム通いが趣味だそうですが、それ以外にハマっていること、休みにすることは。
「普段のナムグン・ミンは、友達もあまりいないし、特に関心のある趣味もないつまらない男です(笑)。ジムに行って、帰ってきたらおいしいものを食べて、テレビを見て、ゲームをしてというのがすべて。これからはこういう質問に関心をもってもらえるような答えができる何かを作りたいとは思うんですが、とりあえず、これが本当の自分です(笑)」
―ということは、彼女もいない? ちょっと寂しいのでは。
「(彼女は)いないですね。今は仕事に集中すべき時期だと思うから。こんなときに異性に関心を向けてしまって、後で後悔することがあったら、その人をうらんでしまったり、感情としても平静でいられない気がするんです。寂しくないといえばうそになるかもしれないですが、軍隊から帰って、人々にもある程度認められたときなので、仕事にまい進する機会が訪れたと思っています。次回作にも関心を寄せていただいてますし、ファンの方の期待に応えるためにも、早く作品に入りたい気持ちです。ちょっと寂しいときは、パンを食べながら映画を見れば大丈夫です(笑)」
ナムグン・ミンは、プライベートな質問を嫌うと聞いていたのだが、この日はとても率直に、気持ちよく話してくれた。演技に没頭したいというナムグン・ミンの思いはファンにはこの上ないうれしいこと。一方で、もう少し遊びも楽しんだらいいのにと思ったが、彼の心はとても充実していると感じられた。今、ナムグン・ミンがハマっていること=俳優の仕事が、この上なく楽しそうだから。早く、次回作で輝く姿に会いたい。