昨年の大ヒットドラマ『シークレット・ガーデン』のヒョンビン、『最高の愛~恋はドゥグンドゥグン~』のチャ・スンウォン、『シティーハンター』のイ・ミンホなど、これらのトップ男優たちが出演したドラマでは過剰な間接広告(ドラマの中でスポンサーの商品が使われる形式の広告)をめぐる問題が取りざたされた。それだけ人気男優を使った広告に、ファッションメーカーが熱を上げているということだ。実際に、最近はどのファッション関連企業もテレビドラマのヒロインより、男性主人公の確保に血眼になっている。
その理由はまず、今のドラマの男性主人公はこれまでのドラマに比べ、ファッションを宣伝するのに最適だからだ。ファッション広報代理店「ビジュコム」のソル・スヨン室長は「最近のドラマを見ると、主演男優の役どころは社長や本部長が多く、しかも財閥グループ会長の息子や『クールな都会の男性』タイプがほとんど。高級なイメージを大切にするファッション企業が大歓迎するのは当然のこと」と話す。事実、出演するたびにドラマが大ヒットをするある人気女優は、逆境を乗り越え人生で大逆転を果たすヒロイン役が多く、出演料はトップクラスなのに間接広告が付かずイライラしているという。貧しく不幸な境遇から「シンデレラ」になるヒロインではなく、「白馬に乗った王子様」的な男性主人公に間接広告が集中するのは自然な流れといえる。
男性主人公は上流層という設定が多いため、間接広告に出す商品も女性向けの商品より高価なことが多い。1台1億ウォン(約643万円)以上という高級輸入車は当たり前で、数千万ウォン(1000万ウォン=約64万円)の時計を協賛するケースも多い。ファッション専門家のイ・ギョンソン・ウィズカルチャー代表は「女優の場合は、化粧品・バッグ・服など種類は多いが単価があまり高額ではない製品が主なのに対し、男優の場合は基本的に単価の高い商品が多いため、間接広告の効果を金額で換算するとはるかに大きくなる」と話す。また「財閥一族の御曹司役という設定には、高級感あふれる豪邸という演出も不可欠。モデルハウスやリゾートマンションの建設・不動産業者も男優を使って間接広告するケースが増えている」と分析している。広告代理店「メディコム」のイ・スミン氏は「男性主人公は専門職が多いため、オフィスでのシーンが必ず登場する。オフィスの机に置く照明器具・筆記用具・デザイン小物・カレンダーも間接広告のため協賛商品の対象となっている」と説明した。
一部には「男性ファッション市場は今まさに花盛りのため、男優を使った間接広告参入のほうが女優に比べハードルが低い」という声もある。「女性のファッション市場はブランドが多すぎて、間接広告市場は飽和状態にある。現物・現金による支援がいくら多くても、トップ女優を確保するのは難しいが、トップ男優は女優に比べ確保しやすい」ということだ。