帰って来た『エヴァ』シリーズ、伝説復活なるか

 第12回釜山国際映画祭は日本のアニメ映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』の上映を最後に12日、幕を閉じた。

 クロージング作品に選ばれたこの作品は1995年にテレビアニメとして放映されて以来、熱狂的なファンを持つシリーズの最新作。単なる人気アニメにとどまらず社会現象を巻き起こした作品だ。『エヴァ』シリーズを生み出したアニメ制作会社ガイナックスは「オタク(特定の物にこだわりを見せるマニア)の聖地」として君臨、現在まで同作品で計1500億円以上の収益を上げているという。日本では9月1日に公開され、84館で公開され興行収入1位になった。今回の釜山国際映画祭では前売り券が発売開始26分50秒で売り切れた。韓国での公開は未定。

 主人公はわずか14歳の碇シンジ。15年前に起きた大災害「セカンドインパクト」で人類の半数が死亡した世界。シンジは国連直属の特務機関NERV(ネルフ)の司令官で父の碇ゲンドウから手紙を受け取り、新たに建設された「第3新東京市」に足を踏み入れる。「使徒」という謎の生命体と戦うことを命じられたシンジは、「人類救出」のため汎用人型決戦兵器人造人間「エヴァンゲリオン」(エヴァ)に乗り込むことになる。だが、彼は「僕は必要のない人間」「僕はどうして生きているんだろう」と、自己存在について哲学的な疑問を常に投げかける。

 ヘッドホンをつけ、いつもうつむき地面だけ見て人と目を合わせようとしないシンジの性格は「オタク」や「いじめられっ子」のように描かれている。「父親」に象徴される国家にいや応なしに服従させられた戦後日本の世代と、これに反抗し自分探しをする新世代との距離感や張りつめた緊張感が描かれ、少年の成長ストーリー、人間性の回復も重要なテーマとなっている。

 ハイライトは「ヤシマ作戦」と呼ばれる国連・自衛隊・エヴァの合同作戦。自由自在に姿を変え、爆発的なエネルギーを持つ「第6使徒」(テレビ版第5使徒ラミエル)との戦いが最もドラマチックに描かれている。

 今回の劇場版は計3部作4本からなる。前編『序』に続き2008年初めに日本で公開される中編『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』、2008年半ばと末に公開される後半・完結編『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:急』+『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:?』(未定)だ。今回の『序』はテレビ版の第6話までを再構成したもの。戦闘シーンなどで見事なコンピューターグラフィックス(CG)が登場するものの、最新技術のアニメに慣れている新世代には少しアナログ的かもしれない。ただ、使徒たちの登場順が違い、渚カヲルら人気キャラが終盤で姿を見せることから、次回作への期待が高まっている。

崔宝允(チェ・ボユン)記者
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