【韓国ドラマ分析】最近のドラマ成功のカギは?

 最近の韓国ドラマは主人公の死で幕を閉じるケースが増えてきている。

 30%近い視聴率を記録して今月28日に終了したKBSドラマ『ごめん、愛してる』の最終回で頭に銃傷を負いながら生きていた主人公ムヒョク(ソ・ジソプ)がついに死を迎え、ヒロインのウンチェも自ら命を絶った。

 ムヒョクの死は予告されていたことだが、ウンチェの死はドラマの熱狂的ファン以外の一般の視聴者にとっては予期せぬことだった。

 ライバルドラマのSBS『ラブストーリー・イン・ハーバード』でもヒロインのスイン(キム・テヒ)が早い時期に死を迎えることになる。当初、メキシコで医療ボランティアに参加したスインが病に倒れてこの世を去ると設定した制作陣は最近、彼女の病名を「悪性リンパ腫瘍」と公開した。

 明るく楽しい雰囲気のハッピーエンド一辺倒だった若者向けの韓国ドラマは、今年になってから180度変わった。視聴者の涙腺を常に刺激する「主人公の死」は、すっかり主流となっている。

 今年の初めに終了したSBSドラマ『天国の階段』は、目のがんで死を迎えることになるジョンソ(崔志宇(チェ・ジウ)扮す)に目を提供するためにテファ(申鉉濬(シン・ヒョンジュン)扮す)が車で自殺する。

 SBSドラマ『バリで起こったこと』(日本タイトル『バリでの出来事』)ではジェミン(チョ・インソン)がリゾート地のバリにまで行って愛する恋人のスジョン(ハ・ジウォン)と恋敵イヌク(ソ・ジソプ)を拳銃で射殺して自分もビーチで命を捨てる。

 このドラマの場合、3人の主人公すべてが死に至るというまったく予想外の展開に驚いた視聴者の意見は真っ二つに分かれ、しばらく甲論乙駁が続いた。

 こうした「主人公の死」が頻繁に用いられるのは、それだけ視聴者を取り込めるからだ。一部のドラマ制作陣は、主人公が死を迎えるという設定を予め知らせて視聴者をドラマに没頭させる。

 専門家らは「景気の低迷で未来に対する不安を持った若い視聴者が不幸な境遇を持った主人公たちが登場する悲劇的なドラマに以前よりも簡単に入り込むようだ」と分析する。

 2002年に話題となったMBCドラマ『勝手にしやがれ』は、主人公のポクス(梁東根(ヤン・ドングン)扮す)が余命を宣告された人物であるという設定であっても、彼が生きているかも知れないという暗示を与えてドラマは終了した。しかし、最近ではそうしたこと自体が意味をなさなくなっている。最大限劇的な状況で主人公が死を迎えることが、視聴率上昇に直結するからだ。

 一方、ストーリー作家の立場からすれば、“死”という素材が与える魅力をただ素通りすることは簡単ではない。MBC『漢江水打令』を執筆中のキム・ジョンス作家は「生や死といったこと以上に深い素材はないだろう」としながら、「以前に金東里(キム・ドンリ)先生が授業で『書くことがなくなったら死について考えてみなさい』と仰っていたのが記憶に新しい」と話した。

  『ラブストーリー・イン・ハーバード』のイ・ジンソク監督は「死を目前にした設定は男・女主人公の互いに対する感情をさらに切実にさせる。季節的には冬にこうした手法が多く使われる」と話した。

チェ・スンヒョン記者 vaidale@chosun.com
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